企業知財部員のための特許法勉強ノート

知財関係で働いています。勉強している特許法についてまとめたノートを公開していきます。 一緒に特許法を勉強しましょう!

出願の単一性

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今日は出願の単一性について勉強しましょう!

目次
1.出願の単一性
(ⅰ)趣旨
(ⅱ)特徴
(ⅲ)出願の単一性の要件を満たす条件
(ⅳ)§37違反の効果
(ⅴ)出願の単一性に関する問題

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 1.出願の単一性
(ⅰ)趣旨
 ①技術開発の高度化・複雑化に伴い,開発の成果は多様な形で密接に関連する一群の発明として得られる場合が多くなってきたことへの対応
  → 一出願に含められる範囲を拡大,欧米先進国の実務に比肩するようなること
    (出願の単一性の欧米化)
  
 ②出願人及び第三者の便宜を図り,特許庁の審査効率を向上させる
  → 将来の技術動向等に応じて出願の単一性の範囲を法律に依らず政令により速やかに拡大できるようにすること

 ③1の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明が同一であることを妨げない,とする§36-5との結び付きを考慮
  →○§37の単一性を満たす限り同一発明か別発明かを区別する必要を無くする

(ⅱ)特徴
 ①1発明1出願の原則と例外規定の廃止
 ②出願手続の簡明化等
  出願の単一性を満たす限り,同一発明か別発明かを区別する必要をなくした
  →○出願手続きの簡明化・関係者の負担軽減のため,出願の単一性の要件を満たすかどうかの比較的容易である審査をして,同一発明なら§36-5により請求項の記載が適法と認められ,別発明なら§37違反を理由に拒絶すればよい

(ⅲ)出願の単一性の要件を満たす条件
 発明の単一性の要件を満たす条件として,特許法においては二以上の発明が「技術的関係」を有することが求められることを規定
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  「 特許法施行規則第25条の8」
   1 特許法第三十七条の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。
   2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。
   3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。
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(ⅳ)§37違反の効果
 ・拒絶理由(§49(4))
 ・無効理由にはならない(§123)
  → 出願人,第三者及び特許庁の便宜のため設けられた手続規定のため
   → 発明の実体上の瑕疵では無い
     2以上の特許とすべきであったという手続上の瑕疵に過ぎない:第三者の利害なし

(ⅴ)出願の単一性に関する問題
 ・複数の発明に係る出願において費用上有利
 ・複数発明からなる一出願にて,いずれか1に拒絶理由があるとき全体が拒絶される不利がある
  → 拒絶理由の対象となった特許請求範囲を削除補正する策や,分割出願によりこれを免れる策が一般的に講じられている

単一性で拒絶されても分割出願すればOKなのでそんなに気にしなくてもよいかもです。費用は掛かりますが。

以上でーす!

 

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