企業知財部員のための特許法勉強ノート

知財関係で働いています。勉強している特許法についてまとめたノートを公開していきます。 一緒に特許法を勉強しましょう!

審査主義と出願公開

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今日は審査主義と出願公開について勉強しましょう!両者の繋がりを理解するとグッドです!

目次
1.審査主義と無審査主義
(ⅰ)利害得失
(ⅱ)技術革新下における審査主義の限界と近代化
2.出願公開
(ⅰ)趣旨
(ⅱ)時期
(ⅲ)方法
(ⅳ)効果

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 1.審査主義と無審査主義
審査主義:特許出願について特許を受けるために必要な要件のすべてを備えているかどうかを審理し、その結果、その発明につき特許を付与すべきか否かを決定する主義。
無審査主義:特許を受けるために必要な要件のうち、比較的簡単にできる方式的又は形式的な用件のみの審査を行い、判断に時間を要する実体的な特許要件を行うことなく特許を付与し、特許の有効・無効については、特許後において紛争が生じた場合においてのみ裁判所において審理する主義。
(ⅰ)利害得失
・審査主義の利点=無審査主義の欠点
 特許への信頼度、特許権の安定度は高くなり、権利の有効性を争うケースが比較的少ない。
・審査主義の欠点=無審査主義の利点
 審査のために多くの人員と経費を必要とし、特許になるまでの時間が長引き、発明の保護、公衆への技術公開が遅れるおそれを生じる。

(ⅱ)技術革新下における審査主義の限界と近代化
 技術競争の激化、これに伴う科学・技術の急速な進歩は、はからずも以上の予想を完全にくつがえす結果をもたらした。
 ・出願人は、権利が発生するまで長い期間待つことになり、権利が発生したときにはその発明はすでに技術的価値を失っているといった事態が起こった。
 ・第三者は出願の内容の公開が遅れることにより、重複研究を防げないなどの弊害を招く事態も起こった。
 →法目的である産業の発達の大きなブレーキとなり、改善が急務であった。

2.出願公開
(ⅰ)趣旨
 すべての出願について、出願後早期にその内容を公開し、これに一定の法律的保護(拡大された先願の地位、補償金請求権等)を与える制度である。

(ⅱ)時期
 出願の日から1年6か月を経過した後、すべての出願に対して行われる。ただし、その期間内に出願の取下げ、却下、放棄があったもの、又は拒絶査定が確定したものは公開の対象とならない。
 1年6か月の基準となる出願の日は、優先権主張を伴う出願にあっては、優先権主張の基礎となった最初の出願の日である。また、分割・変更等により出願日が遡及することとなるものについては、原出願日が基準となるので、出願公開はその分割・変更後すみやかに行われる。

(ⅲ)方法
 PCTにおける国際公開に準じ、全文公開方式を採る。
 ※ただし、公序良俗に反するおそれがあると特許庁長官が認める部分は、掲載しない。

(ⅳ)効果
  ①拡大された先願の地位を得ることができる
   出願公開制度により、先願が出願公開などをされる前に出願された後願であっても、その内容が先願と同一内容の発明である以上さらに出願公開等をしても、新しい技術をなんら公開するものではない。

  ②補償金請求権
   出願人が出願公開後、特許権の設定登録前に業として出願に係る発明を実施した者に対し請求することができる権利。
   これは、出願公開されたまま公開発明が他人によって勝手に実施される状態を救済し、その他人の実施がなければ出願人がより多く得たであろう利益の喪失を補償するためのものでる。
   →損害賠償と差止請求はできない。

  ③情報提供制度
   特許査定前に発明の内容が公開されるから、その発明が特許されるべき発明でないと認める者は何人も必要な情報を提供することにより、審査官による特許査定を阻止することができるようにした制度。
   本法上認められているものではなく、施行規則上の取扱い。
 

以上でーす!

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