特許請求の範囲の記載要件①
今日は特許を取得する上で一番?重要な特許請求の範囲の記載要件を勉強しましょう!!!
目次
1.特許請求の範囲の記載要件
(ⅰ)基本的考え方
(ⅱ)特許請求の範囲の具体的記載要件
(a)§36-5
(b)§36-6(1)
(c)§36-6(2)
(1)作用,機能,性質又は特性による物の特定を含む請求項について
(2)製法による物の特定を含む請求項について
(3)用途発明における用途の一般的表現について
(4)用途や性質による限定のない組成物について
(d)§36-6(3)
(1)請求項に同一内容の事項が重複して記載してあって…
(2)マーカッシュ形式で記載された化学物質の発明…
(e)§36-6(4)
(1)§36-6に違反するとの一応の心証を得た場合には…
1.特許請求の範囲の記載要件
(ⅰ)基本的考え方
□特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項の全てを記載
→・出願人自らの判断で,特許を受け保護を求めようとする発明について記載するもの
・特許出願人自らが「発明を特定するために必要と認める事項の全て」と判断した事項
□§36-5は,出願人が特許請求範囲の記載にあたって何を記載すべきかを規定
(ⅱ)特許請求の範囲の具体的記載要件
□その記載は正確でなければならず,一の請求項から必ず発明が把握されることが必要
(a)§36-5
□本項前段: 発明を特定するための事項を過不足なく記載すべき
□本規定の後段: 確認的に規定されたもの
(b)§36-6(1)
□請求項の記載事項が発明の詳細な説明から読み取れること
(c)§36-6(2)
□一の請求項から必ず発明が明確に把握されるように記載しなければならない
△請求項の記載がそれ自体で明確でない場合
→ 明細書及び図面中の定義または説明を技術常識をもって考慮
→ 請求項中の用語を解釈し,請求項の記載が明確と言えるかどうかを判断される
△§36-6(2)違反の類型
①請求項の記載自体が不明確:特許を受けようとする発明が明確でない。
②発明特定事項に技術的欠陥:特許を受けようとする発明が技術的に特定されず不明確
③技術的思想としての発明の外延が不明確
④発明特定事項が選択肢で表現:選択肢同士が類似の性質又は機能を有しない
(1)作用,機能,性質又は特性による物の特定を含む請求項について
□発明の外延が不明確になりやすいので,注意する
△その作用,機能,性質又は特性が当業者に知られておらず,特許請求の範囲以外の明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても,当業者がその作用,機能,性質又は特性を理解することができない場合など:発明の外延は不明確
例 ・研究所試験法に従って
・少なくとも1日は曇らずに光沢を維持できる被膜
□物の特定に使用する作用,機能,性質又は特性についての考え方
ⅰ)標準的なもの(JIS,ISO規格,IEC規格(国際電気標準会議企画)等)に基づく定義・試験・測定方法で定量的に決定できるもの(例:比重,沸点等)
ⅱ)標準的なものを用いないで表現する場合は,当業者に慣用されているか,慣用されていないにしてもその定義や試験・測定方法が当業者に理解可能であること
ⅲ)発明の詳細な説明又は図面の記載において,その作用,機能,性質又は特性の定義や試験・測定方法によるものであることが明確になるように記載さている
(2)製法による物の特定を含む請求項(プロダクトバイプロセスクレーム)
□発明の外延が不明確になり易いので注意する
△例えば,当該製造方法が当業者に知られておらず,しかも出願時の当業者が明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても,当業者がその製造方法を理解できない場合など:発明の外延は不明確 例:有機溶媒で処理して得られた物質
(3)用途発明における用途の一般的表現について:発明を不明確としないときはOK
(4)用途や性質による限定のない組成物:これだけで§36-6(2)違反とはしない
(d)§36-6(3)
□本号の趣旨:
第三者が理解し易い簡潔な記載とすべき:請求項の記載:権利書としての使命
□§36-6(3)の要件を満たさない類型:
(1)請求項に同一内容の事項が重複して記載してあって,記載が必要以上に冗長過ぎる
(2)マーカッシュ形式で記載の化学物質:選択肢数が大量で記載の簡潔性が著しく×
(e)§36-6(4)
□特許請求範囲の記載に関する技術的な規定を,通商産業省令に委任するもの
□§36-6違反の拒絶理由通知における留意事項:
(1)§36-6に違反するとの一応の心証を得た場合には,上記に従って拒絶理由
→審査官の心証が変わらない/心証を真偽不明になる程度まで「しか」否定できない→その拒絶理由により拒絶の査定を行うことができる。
以上でーす!